アグロナチュラの内緒話: 2005年12月アーカイブ

Crema mani campione.jpg

しかし、このハンドクリームも世に出るまではいろいろありました。

延々と繰り返される配合の見直しと、それを実際に試すためのサンプルの再作成、こうしてせっかく作っても、そのたびに出る東京からのNOの返事。一体何十キロという材料を捨ててしまったことでしょう。

ある日駅前で待ち合わせたジュリオ氏に、幾度目かのNOを告げると流石に温厚な彼も不機嫌な応答になり、それを見た私も熱くなって「こんな製品でお客様からお金がいただけるか!」と怒鳴ってしまい、職人のプライドを傷付け、それを修復するために、毎日のように工房まで電車で通った日々。

発売直前に日本に到着した製品が、僅かな運送中の温度変化で件の蜜蝋が他成分と分離してしまい、1000個単位の大半の商品が棄却決定になってしまった時は、腐っているわけでもないのに、商品として不可と判断された時のもって行き場のない腹立たしさと、それをジュリオ氏に告げなくてはならない申し訳なさで耐えられなかったり、と・・・

山ほど作って貰ったサンプルの中で、私が時折自分の手に擦り込むのは、何を隠そう一番初期の乳化剤添加のサンプルです。

伸びもよく、べたつかず、香りが長く続く大好きなスミレの香調を施してもらったサンプルは、小さな容器に後り2つとなってしまいました。もう再びお目にかかることはない、マイ・レア・ハンドクリームです。

私の手は、今までの自身への数々のモニターの結果、少々の合成品添加ではびくともしないことが分かっていますが、恐らく大半の人々はこれを使用しても、問題が出るどころか、私同様にその使い良さと効果にきっと気に入られるはずです。内容的にも自然化粧品では著名で高価なメーカーのものと同等か、それ以上であると私は断言できるつもりです。

それでも尚、この品質さへも遥か遠くに置き去りにする、求める以上の高き目標と、それを実際に成し遂げたジュリオ氏のことを時折思い出してあげて下さると、彼も嬉しく思うはずです。        おわり

ハンドクリームについての専門的な話しは省略しますが、蜜蝋にハーブオイルを加えた感じの、ベタベタの軟膏タイプのハンドクリームでお客様が満足できるならハードルは極めて低かったのです。

手肌を保護し潤いをもたらす本来の目的と、伸びが良く、べたつかず、良い香りで、一定の保存期間もクリアし、当然我々の求める自然原料だけを使って作り上げるとなると、正に水と油の要素が立ちはだかります。

勿論、一時は添加の決断を迫られたステアリン酸は、単純に悪いものと言う認識はありません。
実際、高品質自然化粧品を名乗る著名な国内外メーカーの製品も多々使用されています。

私達は現代科学を否定しませんが、私達の安全への考えかたの基本は、人々が何百年何千年と使い続けて実証している、その期間の長さが何よりの最大の証しとなると考えているからです。

ドクターコスメという新しいトレンドも日本ではあるようですが、私の家内の強度のアトピーを、目先の対処療法で副腎皮質ホルモンを処方し、結果的に見るも無残なリバウンドを起させた事実は、医者を信じないのではなく、現代医学をただ盲目的に信じない、自分達なりの勉強や考えかたも必要かなと考える機会を得ることにもなりました。

「不特定多数に受け入れられる使用感か、私達なりの物作りか」、ほぼ二者択一の選択を迫られた発売日が目前の時間制約の中で、結局アントス工房当主のジュリオ氏と私が出した結論は、自分たちがやろうとしていることの原点回帰でした。

「本来の目的に対し、使わなくても済む合成物は、例え今安全と言われていても使わない」

それが結果的にはお客様の信用を得、長く賛同していただけることになる、と結論付けたのです。
                                                          つづく

Antos lavoratorio.jpg

先日、東京からこんなコメントが入りました・・・。

今回入荷の、ハンドクリームの状態が、①におい、②クリーム状態、③使用感とも前回のものとは違う(良くなった)というお問い合わせが来ています。

製品の内容が変ったのかと思われますが、原材料は一切変っていません。ぶっちゃけ話をしてしまうと、私達のハンドクリームは日本での発売初期のロットはやや偶然の産物(使用感にベストと思われる材料を選んだと言う意味)、そして今店頭に並びつつあるものは確信の産物であるということです。

全ては、ベース原料となる蜜蝋の採集ロットごとの個性差(自然のものですから、花の種類や時期などで当然変化があります)によるものですが、この個体差によって匂いもクリーム状態も使用感も都度変ってしまい、また自然の物ゆえ安定化は極めて難しい(不可能?)とされてきました。

一時期は、ステアリン酸(成分の内容はネットで探してくださいね)という食品にも多用される植物原料由来界面活性剤(乳化剤)を、使用感向上と品質安定をさせるために、発売直前までこれを使用することを選択肢として余儀なくされたにも拘わらず、アントス工房当主のジュリオ氏は寸前でミラクルな解決を導き出してくれました。

結論としては、これらの個体差の激しい蜜蝋の一次処理に、何工程もかけてフィルター処理を施すことなどの作業をすることで、100%自然原料のレシピ―は変更せずに、製品としての使用感を更に高め、且つ安定して送り出すことが可能になったのです。                             つづく

Antos Crema Mani.jpg

乾燥する冬はハンドクリームがより求められる季節ですが、お客様の中にも、「手が白い粉を吹いたようになる」「ひび割れる」などなど手に関わる悩み多き季節のようです。
その上「ことごとく合成界面活性剤が合わない」と言う方は想像以上に多く、さらに問題に拍車をかけている方も数知れません。

写真は、私達の自信作の一つであるアントスハンドクリームの過去の試作品のほんの一部です。
約1年かかって、基本配合だけでも数10種類、微調整に至るまでには一体幾つのサンプルをこしらえたことでしょう。

成分の内容を見て、封も切らなかった試作品もあります。
当時は正にサンプルの屍累々の状態でした。今でもこれらが処分できずに、私の書斎の隅でダンボールに入って保管したままです。

私達のハンドクリームは、世界でも例のない界面活性剤やその他のあらゆる合成添加剤を加えない100%完全自然材料ハンドクリームですが、この内容に達するまでには、先回お話した防腐剤排除のエピソードを上回る、見えない努力がありました。

発売以後、たくさんのお客様から高い評価を戴き、店頭から売りきれ続出してしまったアントス・ハンドクリームをここまで作り上げた、アントス工房当主ジュリオ・モルターラ氏の悪戦苦闘を、ちょっと皆さんにお披露目したいと思います。                                           つづく

製品開発秘話ーその5

| | コメント(0)

bio広告-B.jpg


原料配合上、論理的にはエッセンシャルオイルと潤沢なオイルを含有する芳香蒸留水を使うことでの、ある合計含有量で防腐期間はギリギリ36ヶ月をクリアできます。

結局問題はコストでしたが、洗剤製品に使うとしたときの年間必要エッセンシャルオイルを、ある販売想定X量で試算し、収穫時期に本計画に必要とする原料加工の集中作業をさせることで製造ロスを下げてもらい、さらに今後数年間は一定量の作付けを確約するという荒業で、不特定注文のための見越しロスさへも大幅に減らすことが可能になりました。

こうして要のエッセンシャルオイルのコスト低減を極限まで計り、ミント芳香蒸留水を副産物として位置付け、可能な限り全量使用することで防腐剤として必要な合計含有量を確保した上で、メーカー発想では考えもつかない、正に農家ならではの、それこそ大地と共に起した知恵と節約で、大幅な最終コストダウンを実現できたのでした。

結果、世界でも例のない、製品コストのかなりの部分が、保存や酸化防止のための原料に振り分けられ、水分比率の大半をミント芳香蒸留水(当然DEMETER認証原料)が使用されるという、成分表示を見ただけでは直ぐには分からない、恐らくどこの洗剤メーカーが思いつくことも、実現することもない、信じられないスペックを持つ洗剤の誕生となったわけです。

こうして、一切の合成添加物(防腐剤・酸化防止剤・香料・着色料など)を加えない家庭用一般洗剤は、我々の手元から誕生したのです。

今思い直せば、東京のH社長は、私達の製品の本質を見抜いていました。
その核となる部分を妥協させないことが、この計画の骨子であることも分かっていたのでしょう。

さて、今だからお話できますが、組合関係者にぶちまけた当時の約束販売X量は実は何の根拠もありませんでした。その数字を東京本社が聞いたら肝を潰すはずです。

しかもですが、未だ洗剤に限ってはこの約束数量は到達できていません。
約束反故?いえいえ、ありがたいことに、本社のT氏の号令下、その後の短期間での数々の製品展開にこれらの基本原料が幅広く使用されているのです。本当に助かりました・・・

                                                     この章終わり

OE Magazino.jpg

私事で恐縮ですが、もともと初期のビオリーブス試作品洗剤を気に入ったのは家内でした。
アトピーで長年悩み、副腎皮質ホルモンの使用で重いリバウンドにもあっていましたし、何かの弾みでアレルギーがでると、救急病院まで担ぎ込まれたこともあります。

その家内が、「手袋無しでも手荒れがしないのに、嘘のように油汚れが落ちる!」と大騒ぎしていたのを思い出します。相性も良かったのでしょう。

そういう背景もあって、製品の優秀さには全く疑問はありませんでしたが、含ませる水分を合成保存料でなく腐らせないようにする件の宿題はあまりに重いものでした。

そんな悩ましき日々の中で、日常出向いている組合本社の原料保管倉庫でのこと。
その年の夏に収穫され一次加工を施された乾燥ハーブやエッセンシャルオイルなどの周りを何気にぶらついて見渡していると、厳重なエッセンシャルオイル保管倉庫の入り口脇に、綺麗な薄い緑色の液体が入った半透明の1トンPEタンクが幾つか目に入ります。

近くにいた、馴染みのマルコ君に尋ねます。
「これって何?」
「え?知らなかったっけ?ミントエッセンシャルオイルの加工時に出る芳香蒸留水だよ」
うかつにも、今までにこんな大きな容器に入った状態での芳香蒸留水を見過していました。
「そ、そうだったね。ところでどの業者向け?」
「ドイツの業者Pが毎年一定量契約で引取るんだけど、これを更に蒸留水などで薄めてフレグランスやいろいろな製品に使用するらしいよ。でもすごく高価らしいけど・・」

その言葉にハッと吾に返ります。

そうでした!組合は水蒸気蒸留精製法+自然分離式抽出を守っているため、芳香蒸留水の中にもかなりの含有量でエッセンシャルオイルが残ることも思い出しました。

確かに、ただの水なら植物の成分が煮出されていれば早い段階で劣化するはずですが、加工後数ヶ月経って何気に置かれているタンクの中の液体は、まるで抽出直後のように瑞々しく保たれているではありませんか!                                                   つづく

製品開発秘話ーその3

| | コメント(0)

MENTA.jpg

「いまさら不可能だ!」
ビオリーブス工房の中で、技術顧問のメンゴーリ博士の声が響きます。
「いや、正確には可能だが、コスト面はどう考えても不可能だ・・」
少し間を置いて、努めて冷静を装うように彼がそう言い直すと、私を含めこの件で立ち会った全員が、深い溜息とともに押し黙ったままになってしまいました。

欧州の一般的化粧品基準でもある未開封36ヶ月の保存保証を前提に、合成の防腐剤を排除することが可能であることは、今までの研究でもある程度は分かってはいました。
ミントなどのエッセンシャルオイルをかなりの量を添加することで、防腐剤の役目を担わせることは可能なのです。

が、安価な合成エッセンシャルオイルを使っては意味がありませんし、かといって私達組合のエッセンシャルオイルは極めて高コストで、これを製品の保存に耐え得る量まで添加すれば、著名な高級パフューム並の価格になることは避けられません。高級パフュームだって、合成品のエッセンシャルオイル使用が殆どですが・・・。

コストの分かりやすい例として、日本でも当方品質に近いエッセンシャルオイルは小瓶で売られているようですが、近いと言えども、2mlや5ml容器で、数千円から数万円!するものまであるようです。事実高価なのです。

追い討ちをかけるように、標準洗剤に対し、必要な合計添加エッセンシャルオイルは1%、つまり500ml容器なら、5ml!の量が必要という配合計算が出されました。
それでなくとも、エッセンシャルオイル以外に使用される様々な有機原料は、その時点で想定販売価格に対し既にギリギリのコストに達していました。

もうこの時点で「価格を大幅に上げるか、合成保存料を入れるか」どちらかの選択しか逃げ道はないと諦めていました。
どちらかが無理なら、販売の断念を早期に決断しなければなりませんでした。           つづく

製品開発秘話ーその2

| | コメント(0)

041205.jpg

初回は防腐剤についてです。

今皆さんのお手元にある当方製品の全てには、ご存知のとおり香料や防腐剤、酸化防止剤など一切の石油系合成添加物が使われていません。

でも正直に言えば、私達の製品も初期プロトでのビオリーブス洗剤等には、化粧品などに一般的に使用されているパラベンが添加されていました。

皆様もご存知のとおりで、今年このパラベンついて、太陽光などの紫外線と出合うと、肌などの老化を増す物質に変化すると言う新聞での発表があって騒然としましたね。
パラベン自体は安全であるのかもしれませんが、太陽光というのは恐らく誰も考えなかったわりに、あまりに日常的な環境であったため、余計にショッキングでした。

さて、このパラベンの問題化が露見する随分前の作秋、東京本社のH社長からミラノで当計画の事業化GOを告げられて日も浅い頃、1本の国際電話が自宅にありました。

「自然原料100%という製品レポートを受けていたのに、パラベンと言う合成添加物が使われています、これは駄目です」 

前置き無しの直球話しにびっくりするも・・・ややムッとして私も切り返します。
「このパラベンは自然化粧品にも一般的に使われているもので最新の安全なものです、しかも使用は極微量です。パラベンを排除するとなると、製品設計が根本的に代り、コスト面、また防腐面での保証確保に問題がでます」

しかし、私の俄仕込みの半端な説明には、H社長は一切耳を貸しません。
「駄目なものは、駄目です!」

私達の製品は100%自然原料です。しかも前代未聞の完全無農薬・有機栽培証明付きの原料が殆どです。確かに、極僅かな量でも合成添加物が入れば、これらを全て否定することになりかねません。
他でも使われているからと言う理由で、自らの製品IDをないがしろにしていることに気づく愚かさです。
が既に、それなりの生産準備も開始していた頃で、これは大きなハードルになりました。     つづく

このアーカイブについて

このページには、2005年12月以降に書かれたブログ記事のうちアグロナチュラの内緒話カテゴリに属しているものが含まれています。

次のアーカイブはアグロナチュラの内緒話: 2006年2月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。